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プロジェクトをスケジュールどおりにマネジメントするための3つのヒントその2

こんにちは、ビーズクリエイトディレクターの神林です。

前回から、「クリティカルチェーン」という書籍を読んで得たことをアウトプットする場として、プロジェクトのディレクションのコツについて書いています。

前回の記事はこちらをご覧ください。

プロジェクトをスケジュールどおりにマネジメントするための3つのヒントその1

 

本書を読んで、私には全部で3つの気づきがありました。

  • 気づき1:全行程を網羅しているか
  • 気づき2:各工程でバッファーは設けない
  • 気づき3:バッファを設けるのは2箇所

前回は、「全行程を網羅しているか」というテーマについて記載しました。

ということで、今回は、「各工程でバッファーは設けない」について書いてみたいと思います。

 

気づき2:各工程でバッファーは設けない

本書でとても面白い記載がありました。

「余裕時間は積み増しされる」

依頼された仕事の時間を見積もる時、誰でもぎりぎりの時間見積もりはせず、「まず大丈夫」という時間を見積もる傾向がある。なぜか?ぎりぎりの時間の見積もりで約束して、もし遅れたら個人の評価に響くからである。誰でも組織の評価基準に従って行動するということである。

 

「浮いた時間は無駄に消費される」

一方、たまたま計画より早めに作業が終了してもそれがそのまま有効に活用されない。正直に申告するとその実績が次回から適用されることになる。次回もその時間でできるとは限らないから、正直に申告するよりも浮いた時間はなんとなく無駄に消費されることになる。

 

「学生症候群」

期限までに時間的な余裕があるとつい他のことに手が出て、結局、ぎりぎりになるまで作業に着手しない傾向をいう。時間はあるのだが、ぎりぎりになるまで着手しないから、結局予定の期限には間に合わなくなる。

 

いずれも「ドキリ」とするような内容ではないでしょうか。笑
私にはすべて身に覚えがありました。

いつでも時間を見積もる際には、バッファー(余裕)を確保するようにしています。
プロジェクトのようなたくさんのタスクが連なる場合、それぞれのタスクにバッファーを設けていました。

こんなイメージです。

各工程でバッファーを設けるイメージ

各工程でバッファーを設けるイメージ

バッファーを設けることは、心理的安全性のために非常に有用です。
タスクが予定よりも早く終わったときの「時間をつくれた感覚」はとても良く感じます。しかし、その早く終わって確保できた時間は、果たしてその後有効活用できていたのでしょうか…?

たしかに、このタスクが早く終るということは、次以降このタスクの標準時間を早めることになりかねません。少し、自分の懐で温めて、「然るべきタイミング」で提出するようなことをしたことはありませんか?私にも身に覚えがあります…笑

そして、「学生症候群」
私も漏れなく一般的な学生でしたので、学生症候群を患っていましたし、今でもその傾向があります。

これらのことを考えると、バッファーというのは実はプロジェクトのスピードという点では悪影響を及ぼしていると考えられます。

では、バッファーは悪なのでしょうか?そうではありません。バッファーがなければ、必ず破綻します。

バッファーを取り入れるタイミングが非常に重要なのです。

バッファーを取り入れるベストなタイミング

実は、バッファーは各工程に取り入れるのではなく、最も長いパス(クリティカルパス)の最後に設けると良いということです。

バッファーは最後に設けるイメージ

バッファーは最後に設けるイメージ。各工程で設ける予定のバッファーを、最終工程のあとに設けます。線の長さ(=プロジェクト完了までの時間)は変わりません。

各工程は、バッファーを設けずに「このくらいだろう」と見積もった時間で各工程には対応させます(ピンクの線)。50%くらいの確率で予定通り終わるくらいの時間が良いようです。当然、早くいったり、時間がかかってしまったりしますが、各工程では対応完了することに専念してもらいます。

そして、クリティカルパスの最後に各工程で本来見積もるはずだったバッファーをまとめて確保しておきます。

各工程でバッファーを確保した場合、「浮いた時間は無駄に消費される」や「学生症候群」のような人間心理が発現しますので、余計に消費されていたバッファーが存在しますが、各工程でバッファーを確保しなかった場合この余計に消費されたバッファーが消滅します。

その結果、同じだけのバッファーを最後に設けた場合、実際に必要だったバッファーのみが消費され、結果プロジェクトは早く完了するということです。

実際には予定よりも早くプロジェクトが完了するイメージ

実際には予定よりも早くプロジェクトが完了するイメージ

まとめ

ちょっと信じられないかもしれませんが、いかにプロジェクトというのは「人間心理」に基づいて行われていたかということがわかるかと思います。バッファーを最後にまとめることで、「無駄に消費される」「学生症候群」のような消えていたバッファーを取り除くことができるようです。

でも、本当にバッファーは最後だけで良いのでしょうか。実は、プロジェクトの中でもう1箇所バッファーが必要な場所があります。

次回、「プロジェクトをスケジュールどおりにマネジメントするための3つのヒントその3」では、もう1箇所のバッファー設置箇所について書きたいと思います。