共感で人を動かす『ゴールデンサークル』
営業の諏訪です。
今回は、コミュニケーションにおいて人の心を動かす話し方をご紹介します。
今では誰もが知るアップルの創業者「スティーブ・ジョブズ」や、たった1日で25万人の聴衆を集め黒人の人種差別撤回を実現した「キング牧師」が実際に行っていた手法になります。
『ゴールデンサークル』
突然ですが、こんなことを言われたらどう思いますか?
「 我々のコンピューターはとても素晴らしい製品です。
美しいデザインで簡単に使うことができる、とてもユーザーフレンドリーな商品です。
おひとついかがですか? 」
これだけを聞くと、
「別に興味ない」
「信じられない」
「そんなものなくても困らない」
などと思う方もいるかもしれません。
しかし、このような伝え方で聞いたらどうでしょう。
「我々のすることは全て、世界を変えるという信念で行っています。その考え方に価値があると思っています。
それは美しくデザインされ、誰もが簡単に使える製品を作ることです。
そうして素晴らしいコンピューターが生まれました。おひとついかがですか?」
どうですか?
欲しい、または興味が湧いてきたと思いませんでしたか?
これは実際にアップルが自社製品を売り込む際に使っている手法です。
アップルは基本的にはコンピューターを作る会社ですが、圧倒的な技術力や特別な仕組みがあるわけではありません。
製品自体は他社でも作れるほどのレベルです。
しかし、アップルが行うこの「伝え方」によって、今では圧倒的なシェアを誇っています。
なぜこんなにも「伝え方」次第で、商品のイメージや購買意欲が変わってしまうのでしょうか?
それが今回のテーマである『ゴールデンサークル』という法則にあります。
下の図をご覧ください。
(図1)
引用:全てを納得させる「ゴールデンサークル」で転職や営業を成功させよう。【プレゼンに応用可】
冒頭で記述した内容を、上記の図に当てはめて分解するとこのようになります。
(以下、パターン1)
「 我々のコンピューターはとても素晴らしい製品です(What)。
美しいデザインで簡単に使うことができる(How)、とてもユーザーフレンドリー(Why)な商品です。 」
この文章は、What(何を?) → How(どうやって?) → Why(なぜするのか?) という順番で紹介していることがわかります。
この順番を逆にしてみるとこのようになります。(以下、パターン2)
Why(なぜするのか?) → How(どうやって?) → What(何を?)
「我々のすることは全て、世界を変えるという信念で行っています。その考え方に価値があると思っています(Why)。
それは美しくデザインされ、誰もが簡単に使える製品を作ることです(How)。
そうして素晴らしいコンピューターが生まれました(What)。」
パターン1では図1の『外から内』に動いていて、パターン2では『内から外』に動いています。
なぜこのパターンで違いが出るかというと、生物学に基づいた理論が関係してきますが、簡単に説明すると、
ヒトの脳は感情を決める際に、『なぜ?』(Why?)ということでしか決めることができません。
そこには言葉の説得や理屈は存在しません。
つまり、特徴やデータなどを言葉で説明されても、「なぜこれをやるのか?」ということが理解できていないと意思決定には及ばないということになります。
ヒトは信じるもののために行動するため、そこに必要になってくるのが『共感を得る』ことになります。
アップルは製品の特徴の前に、自社の理念やVISIONを説明し、
キング牧師はどうやって人種差別撤回を実現するのではなく、自分が信じていること、夢だけを語り続けました。
そこで人々の共感が先に生まれ、実際に商品の購入や人種差別撤回活動の参加に繋がっています。
売りたい商品が良いものなのにうまく伝えられない、
起こしたい行動があるのになかなか賛同者を集められないといった方も、ぜひ参考にしてみてください。