失敗しない家づくりから、ホームページ発注者がやるべきことを学ぶ
「あいまいな平屋」というコンセプトで作り始めた家がやっと完成しました。
コンセプトを守り過ぎたせいで、外から部屋の中までの導線があまりにシームレスなため、裸足で庭に出たり靴のまま子供部屋で遊んだりされています。
まだ支払いが419回残っているヤマモトです。
満足のいくホームページリニューアルを行うには?
結論から言いますと、発注くださるお客様からの多大なご協力が必要です。
申し訳ないですが、知らないから任せておけばいいや。ではまず上手くいきません。
知らないなら知る努力をしなければならないし、意図を業者に伝える努力も必要です。
本業のかたわら、本業並みの気力が必要になってきます。
ただ、私は業者としてたくさんのホームページのお手伝いをしてきましたが、自ら何百万円もかけてホームページを発注したことがありません。
つまり、お客様の気持ちが実際にはよくわかっていないので、あまり偉そうなことも言えないなと思っていました。
ですので家を建てるのをいい機会に、高額商品の発注者として自らも頑張ったらどうなるだろう?というのを試してみました。
結果、「家は3回建てないと満足いくものができない」とよく言うそうですが、私は1軒目にして95点の家ができあがりました。
実験の結果からすると、ホームページを発注する時も似たようなことをすれば満足度が高くなる可能性があるんじゃないかと思います。
また、納品後に長年使うのは大工じゃなくて私です。そう考えると何もかも人任せにできないという気持ちが湧きました。これもホームページに置き換えても、依頼する時に持っておいた方がいい気持ちかなと体験して感じました。
さて、、、どう頑張ったかと言うと、ホームページを作る時にできればお客さんにやってほしいなぁ、、、と日頃思っている以下の手法を無理やり持ち込んだんです。(設計士の方には苦労かけましたが・・・)
- RFP(提案依頼書)の作成
- 要件の素案の作成
- マップの作成
- イメージボードの作成
RFP(提案依頼書)の作成
目的、予算、期日、望む機能、望まない機能などを業者に提示する書類です。
書式に特に決まりはないので、「我が家」ではその中のうち、コンセプトを添えてやりたいことを一覧化して渡しました。
我が家はアウトドアが好きで月に何度もキャンプに行くんですが、だったら行かなくても済む毎日キャンプみたいな家にしようというところからコンセプトを作った上で、誰が、どうしてそうしたいのかをまとめ、実現優先度をつけています。
これを見れば設計士さんにはこっちの意図は完璧に伝わります。
それと同時に、専門家は現実的な指摘をしてくるものなので、一つづつ意見をもらいながら
最終的に取り入れるものとやめるものを決めるのにもこの資料を使いました。
また、色々進んで行く中で振り返って過不足の確認や言った言わない論争でも使いました。
結果、要求に対する認識のズレがなく次のステップに進むことができました。
要件の素案の作成
これは業者に任せることもできるんですが、我が家として妥当な規模(家の場合坪数)は目星をつけていたのでこちらで用意しました。簡単な要件定義のつもりで出したものです。
やりたいことを、概ねこのような形にしたいですと伝えました。
業者さんはこれを受けて、予算内で実現するにはどのような工法があるか、だいたいどんな材料でいくか・・どれくらいの下請け業者が必要か・・・などのあたりをつけながらフィードバックをくれます。
マップの作成
家でいうと間取りかな。。ということで、間取り案も出しました。
ユーザーである自分が望むであろう導線は自分で考えた方がいいと思ったので
携帯のアプリを使って簡単な間取り案を作成し共有。
ただし、これは素人が作ったマップです。
法令だったり構造だったりを全く加味してません。っていうか知識がないのでできません。
そこで、そこは業者さんがサポートしてくれます。
「そんな所にそんなもの作ったら倒壊するよ」とか
「それだと耐久性の基準を満たせないのでこうしましょう」と専門的なチェックと現実的な提案がもらえます。
設計士さんからすると自分のアイディアを提案しずらいかもしれませんが、要求や制約の中からより良い案を出すのがクリエイターの仕事だと思っていますので、あえてそういう要求をしました。
一番のメリットは他人との出し戻し合戦があんまりないので決まるまでのスピードが早い事。
考えたのがこちらなので後で文句を言えないのも業者側からするとメリットかもしれません。
イメージボード
ホームページでは、実際にデザインに入る前に見た目の雰囲気を確かめるためのイメージ画像を作ることがあります。
外見に関わるのでお客様が一番気にするところであり目につく所であり、気持ちを伝えにくいところであり、最大に揉めるところでもあります。 それを回避するためのものです。
確実に、作ってもらうより発注側で作った方がいいです。
ネットで拾った画像を集めて置くだけでもいいです。
作る時に気をつけるのは、コンセプトと照らし合わせながら軸をしっかり保つこと。
白い壁と黒い壁の写真を見せて「こういうのがいいです」と言っても「どっちだよ!」となりますので。
こんな場所で、各部屋はこんな味で、こんな風に住みたい。。っていうのを視覚的に伝えるのに効果的です。
同じ完成イメージを他人と持つことを協業する上でかなり重要です。ゴールの共有というやつですね。
この段階で、家の外観もだいたいこちらからしています。
設計士さんからも部材の提案や見積もりが楽になったと言われたし、下請けの業者さんにも見せて打ち合わせしたそうです。
ちなみに、ここまで完成のイメージを固めてその通りに完成させる施主はまずいないそうです。
私はこの手を踏んだおかげもありますが、わからないところは自分で調べ、積極的に相談し、きちんとイメージを持ってからゴーサインを出し、そこからの文句は一切言わないので、着手してからの手戻りもほとんどなく進行させることができました。
その他
あとはポイントは・・・予算組みでした。
家の場合住宅ローンですが、りん議で置き換えても
一旦承認された予算を簡単には増やすことができません。
嘆願して懇願して根拠揃えて説得して・・・それこそ手間です。
なので、特に必要のないものを予算に組み込んで起きました。
何がよかったかというと、「想定していなかったけどものすごく必要だと発覚したもの」に充てられるんです。
我が家の場合は綺麗にするつもりが全くない庭の費用を予算としてかなり積んで起きました。
使わなければその分浮くし、それでもいいんです。
ですが結果的には安全や利便性のために必要だったもの、急にこだわりたくなったものに入り用となり、上手にその「庭用の予算」を割り振って対応したんです。そもそも綺麗な庭は要件ではないので辛い決断をする必要もないんです。
今回の要点
ということで、、、ウェブ屋が、ホームページを作る時の手法を家作りに取りいれたらどうなるか実験して得られたものは
- お金を払えば自動的に思った通りのものが納品されるわけではない
- 完成してから後悔してなんども作るという将来の最悪の出費が抑えられる
- 成果物の出来は業者ではなく発注側の努力次第で変わる
- 率先して発注側から用意してあげるべきものがある
- いらない設備も予算化しておくとリスクヘッジになる
- 全てはお金を出した自分に跳ね返ってくる
といったところですかね。
自慢しながらもっと言いたいこともありますが、一旦まとまったかと思います。
家やホームページだけでなく、「伝える努力」は自分の目的のためにも大切です。
参考になると嬉しいです。
※私も自分のお家用を雛形にして、お客様とよりよいコミュニケーションを取るための資料のベースがたくさん作れたという副産物もあり、すでに活用しているものもあります。