売上目標を達成すればOKは危険
こんにちは、ビーズクリエイトのカンバヤシです。
よくこんな言葉が社内で飛び交いますよね。「来月までに◯◯万円売上高を達成しよう〜!」
でも、この言葉って少し危険です。これだけだと「どんな売上でも良いから売上高目標を達成すればOK」ってことになっちゃいますよね。
「え、売上目標を達成すれば良いんじゃないの?」という方もいらっしゃるかもしれません。本日は売上目標を達成すればOKじゃない理由と、代わりに何を指標にするべきか、お話したいと思います。
1.売上目標を追いかけるメリット
売上目標を追いかけるメリットは、「わかりやすさ」ではないでしょうか。
誰でも、「お客様にサービスを提供し、いくらの売上になった」というものはイメージがしやすいと思います。自分が行っているサービスならば、いくらの売上になるかは把握をしていると思います。ですから、売上目標◯◯万円と言われれば、「今日まで✕✕万円売上を獲得したから、残り△△万円だ」というように、個人単位で残りの目標が逆算できます。優秀な方は、この差額をどのように埋めるか、計画、実行し、達成していくのだと思います。
2.売上目標を追いかけるデメリット
では、デメリットはなんでしょうか。デメリットは、「売上高が上がれば必ずしも利益も増えるわけではない」ということです。その原因は、「売上高は実際の利益と比例しない」という事実にあります。
例を挙げてみます。
当社の運営母体は長野県東御市にある株式会社唐沢農機サービスという町の農機具販売修理店です。当初「地元農家様の役に立つために、ITの仕組みを導入しよう!」という試みからWEB部門をスタートし、今では独立したWEB部門になりました。当社を牽引する2大柱の一つとなっています。
その農機具販売修理業の複数のサービスを例にお話します。
例えば、下記のような売上の種類があります。
①農機具を販売する売上
②農機具を修理する売上
そして、社長から「今月の目標は売上100万円だ!」という宣言がされたとします。
Aさんは1ヶ月で①農機具を販売する売上で100万円を達成しました。目標達成です。
Bさんは1ヶ月で②農機具を修理する売上で50万円を達成しました。目標には届きませんでした。
さて、AさんとBさんでは、どちらのほうが会社の利益に貢献したと言えるでしょうか。実はこの例の場合では、売上高の少ないBさんのほうが会社の利益に貢献していました。
なぜかと言うと、商品やサービスによって「粗利」が違うからです。
「粗利」とはなんでしょうか。
農機具販売であれば、農機具をお客様に販売した金額(売上高)から、農機具をメーカーから仕入れてきた代金(仕入)を差し引いた、会社の「手取りの利益(粗利)」です。
農機具修理であれば、農機具修理をしてお客様からいただいた金額(売上高)から、農機具修理に使った部品代(仕入)を差し引いたもの(粗利)です。
【売上高 − 仕入 = 粗利】
そして、その粗利を売上高で割ったものが、粗利率です。粗利が売上高の何%を占めるかという指標です。どちらも多いほうがいいです。
【粗利 ÷ 売上高 = 粗利率】
そして、今回のケースは以下のような状況でした。
Aさん、①農機具の販売 売上高100万円 仕入90万円 粗利10万円(粗利率10%)
Bさん、②農機具の修理 売上高50万円 仕入30万円 粗利20万円(粗利率40%)
上記のように、Aさんの方がBさんよりも多くの売上高を獲得したのにもかかわらず、Bさんの方が多くの粗利を獲得しました。
会社に残るお金は、売上高から仕入を引いた粗利ですので、この場合Bさんのほうが会社の利益に貢献したと言えます。
よって、売上高のみに目を向けることで、本当に大切な利益に目がいきにくくなり、「売上は伸びるけどいつまで経っても楽にならない」という状況が続くのです。
3.売上目標に代わる指標
ですから、もし、ただ単に「売上高目標を達成しよう!!」という号令の元、社員一丸となって頑張っていると危険です。
売上ではなく、「粗利」を目標に掲げましょう。
※しかし、粗利のうち全てが会社に残るお金になるわけではありません。粗利の中から、私達従業員の人件費や、会社の維持費等の諸経費が支払われます。逆に言えば、必要な諸経費以上の粗利を確保すれば会社のお金が枯渇することはありません。
そして、粗利が上がるならば、売上が下がっても構いません。現状維持すらしなくて構いません。
考えてみてください。
「今年は前年より売上を下げて良い。その代わり粗利を上げてくれ。」と社長から宣言されたとしましょう。
どんなに肩の荷が楽になるでしょう。そして、どうやって粗利を上げるか、知恵を使うことに注力するのです。
4.まとめ
・売上は大事です。ですが、売上のみを見ていては危険です。
・売上と同時に粗利目標を掲げましょう。
・粗利目標が会社の経費以上であれば、会社のお金は枯渇しません。(※不良在庫もなく、きちんと売上の回収が行われている前提で)
・粗利が上がるなら、売上を下げても良い。