65歳の新人、よろしーく。
はじめまして、わたしは今年2月、ここ“ビーズクリエイト”にエディターとして入社した内園寺 純(ないおんじ じゅん)と申します。歳は65、バリバリの老いぼれです。ここで働くようになったいきさつは長くなるので、はしょりますが、2年前までは横浜に住んいました。現役時代は、東京の広告会社で40年近く広告制作に携わっていて、退職前の3年間は“ACジャパン”というところに出向。公共広告をつくっていました。
ACジャパンは、たくさんの公共広告を世に送り出していて、6年前の3月11日以降しばらく鬼のように流れたコマーシャルとかは、わたしたちによるものです(爆苦情でタイヘン)。この会社に入って、あの頃に制作した公共広告を思い出しました。「もたつく権利、よろしーく。」というタイトルの広告です。〈もたつく権利〉は朝日新聞の天声人語から出たコトバで、“年寄りはいろんなところでモタつくけど、大目に見てあげてネ、彼らには〈もたつく権利〉があるんだヨ”という意味合いです。
最初に出されたコピーは、「私には、もたつく権利がある!」という強いものでした。あまりにも高飛車で、声高に権利を主張している。権利があるのは分かるけど、周りの若いヒトたちはケッコウ迷惑だったりするんじゃないの。もうちょっと「すみませんねぇ」的なニュアンスのエクスキューズがあってもいいんじゃいかなぁ。というワケで、何度か書き直してもらったりして「もたつく権利、よろしーく。」になったとさ。
わたしがこの会社に入って、平均年齢を一気に上げたのは確かです。なにしろ、社員のほとんどがわたしと二周りも違う若いヒト(三周り違いもいたりして)。しかも、やっていることはバチバチのITで、社内情報とかほとんどがデジタルの世界なんです。65歳の高齢者がモタつかないワケがない(イバってどうすんだよ)。わたしと同世代のヒトたちのなかでは、まあまあパソコンとかには馴染んでいるほうだとは思うけど、ここのヒトたちと比べたら、卵と焼き鳥ぐらいの差があるかもしれません(例えになっていないかなぁ?“雲泥の差”をはるかに超えてるぐらいの差、って言いたかったんですが)。こんなモタついてばっかりのわたしに、手取り足取り、目取り耳取りいろんなことを教えてくれているヤングの皆さん、ありがとうございます。必死コイて、できるだけ早く、モタつかなくなるように努力するつもりです。でも、もうちょっとだけ、ホント、もうちょっとだけだから、「もたつく権利、よろしーく!」。